演奏:永田砂知子
2013年から修復された5基の音響彫刻(「渡辺フォーン」「川上フォーン」「桂フォーン」「高木フォーン」「勝原フォーン」)それぞれの音の紹介として演奏し撮影された5つの映像を5分ほどの短縮版としてまとめてあります。この短縮版は観覧者への鑑賞の手引きとして展示会場に流されました。
ひとつひとつの音響彫刻のロングヴァージョンは、バシェ協会youtubeチャンネルで御覧になれます。
演奏:山口恭範 吉原すみれ 野尻小矢佳 前田啓太
「四季」は武満徹がバシェ音響彫刻のために作曲した曲です。図形譜で書かれていますが、暦、気象情報などの言葉を使うような指示や、いくつかの約束事があるので、制約のある即興演奏と言えるでしょう。楽譜には音響彫刻を東西南北に設置するようにという指示がありますが、今回は展覧会用の設置のまま演奏されました。70年万博の初演、2015年京都芸術センターの再演、そして関東圏では初演となる今回の岡本太郎美術館での3度目の演奏、そのすべてに出演された山口恭範氏を中心に、吉原すみれ、前田啓太、野尻小矢佳(敬称略)、による素晴らしい「四季」の演奏をお聴きください。沈黙、静寂、空間、が重要な要素であるという「四季」の静謐な世界を感じていただけることと思います。
演奏:鈴木昭男
この映像は、2020,7,12に行われた世界で活躍するサウンド・アーティスト・鈴木昭男コンサートのライブ録画です。新型コロナウィルスの影響で期間中予定されていたイベントのほとんどが中止になったなか、バシェ協会企画として唯一開催できたコンサートです。鈴木昭男さんが、展示されているバシェ音響彫刻5基全部を使って演奏しています。使っている竹の棒、角材、石などのバチ類のほとんどは京丹後のご自宅より持参されたものです。演奏されたバシェ音響彫刻 5基:「渡辺フォーン」「川上フォーン」「桂フォーン」「高木フォーン」「勝原フォーン」
演奏:沢田穣治、渡辺亮、永田砂知子
アンサンブル・ソノーラのコンサートもコロナで流れてしまい、メンバーのなかの沢田穣治と渡辺亮の2人が京都から岡本太郎美術館のある川崎まで車で来てくれて映像を撮影しました。この映像はそのなかのひとつ、たまたま近くにいた永田砂知子も誘われて、打合せもなにもなくいきなり始めたまったくの即興演奏です。
制作:京都市立芸大 芸術資源研究センター
2020年11月、それまでに修復された川上フォーン、高木フォーン、渡辺フォーン、桂フォーン、勝原フォーンが一堂に会し、またフランスから届いたばかりのバシェの教育音具パレット・ソノールも並んで、ギャラリー@KCUA(アクア)は彼らの声で満たされた。また、オンラインでの国際フォーラムも行われ、フランス、スペイン、カナダ、日本のバシェ関係者が顔を合わせた貴重な機会となった。期間中はヴォイス、ダンス、楽器、照明…様々なものが音響彫刻のフォルムや振動、響きと戯れ、絡まり合い、会場を異次元の世界へと誘う、夢のような6週間であった。
制作:Unknown Silence
バシェの音響彫刻をこよなく愛する京都在住の音楽家3人、沢田穣治、渡辺亮、岡田加津子で2017年に結成。後にヴォイスの北村千絵が加わる。2020年に収録されたこのヴァージョンでは今は亡きおおたか静流さんが特別参加。Yoshitake EXPEのスペースギターと、ソノーラの奏する音響彫刻との静かなる対話空間に彼女の聖なる声が放たれると、暗い夜空がなぜか柔らかい光に包まれるようだ。
撮影・編集 : 柴田 誠(Shibata Sei) / 制作 : N.U.I.project
2022年京都市立芸大に学生主導のバシェ・セミナー発足。パレット・ソノールを用いて即興的な表現を幾度も試みるうちに、ダンスを伴うパフォーマンス作品ができあがった。名付けて『おとなりさま』。京都コンサートホールの円形エントランスを、視覚的にも聴覚的にも十分に活用した、画期的な公演と評された。終演後、多くの聴衆がパレット・ソノールに触れ、自ら音を鳴らすことを楽しんだ。ダンス/升田学、ヴォイス/北村千絵。
撮影・編集 : 柴田 誠(Shibata Sei) / 制作 : N.U.I.project
京都市立芸大がJR京都駅の近くへ移転する前に、旧キャンパスにあった大学会館(建築/内海和雄)の響きを記録に残したい!という一念で、岡田加津子がN.U.I.projectに持ちかけたことから映画制作が始まった。特に大学会館ホワイエは、天井が高くコンクリート打ちっぱなしで、バシェの音響彫刻には持ってこいの場所だった。パレット・ソノールもキャンパスのあちこちに出没し、旧沓掛キャンパスの貴重なメモリーでもある。録音・音響デザイン/森崇。東京ドキュメンタリー映画祭2023短編部門入選作。
演奏:沢田穣治、岡田加津子
バシェの制作技術と音の関係性に共感した眼鏡作家・山ノ瀬氏の作品展会場Gallery SUGATA(京都)に、桂フォーンと冬の花(小型音響彫刻)を運び込んで、ミニコンサートが行われた。奏者の沢田穣治と岡田加津子は山ノ瀬氏の新作ぶっとび眼鏡をかけて演奏。確かにいつもと違う音風景が見えてきたような…。撮影・編集/川崎義博。
制作:京都市立芸大 芸術資源研究センター
渡辺フォーンの解体には屈強な男性6人の力が必要である。「拡声盤」「台座」「鉄棒」の3つのパーツに分離させて、2トントラックに運び入れるわけだが、とにかく一つ一つが大きくて重い。しかも「拡声盤」と「鉄棒」は普段ロープで吊られているパーツなので、自分では立てない。そこで黒川岳氏によって作られた特別な木枠に支えられて運ばれることになる。解体して搬出を見届けたら、さぁ!我々も急いで出発だ!トラックが向かった先の展示場で待ち受けて、今度は搬入・組立が待っている!
制作:京都市立芸大 芸術資源研究センター
拡声盤のない音響彫刻は、まるで冬の枯れ枝のようだ。川上フォーンも勝原フォーンも拡声盤がつくと見違えるほど生き生きとする。この組立作業を通して、音はどこからどうやって生まれてくるのかを、我々は学ぶことができる。
バシェの音響彫刻(Sound Sculptures)(注1)は、同じデザイン、同じフォームのものは世界に2つとない。ひとつひとつ手作りで、いままでにないものをつねに考え出していくのである。
フランソワ・バシェは助手のアラン・ヴィルミノと1969年7月~10月まで大阪に滞在。日本人助手と共に市内の後藤鍛工で、鉄鋼館のためにまったく新しいものを17点製作した。
(注1)当時、鉄鋼館では、Sound Sculpturesを楽器彫刻と訳していましたが、楽器ではないとフランソワ・バシェの発言にもありますので、バシェ協会としては「音響彫刻」と呼ぶようにしています。
音響彫刻に関する詳しい解説はアーカイブページバシェの音響彫刻《復元・調査・研究》でご覧いただけます。
エンジニアの兄 ベルナール・バシェ(Bernard Baschet)と彫刻家志望の弟 フランソワ・バシェ(François Baschet)の兄弟で音響の研究をし1954年からたくさんの実験的な音響彫刻を創った。その精神は芸術+科学+一般参加。自己表現のための芸術ではなく、一般の人々が参加できるひらかれた作品づくりをした。ニューヨーク現代美術館、ベルリン美術館、パリ博物館など世界各地で展覧会が開催される。日本には1970年大阪万博・鉄鋼館プロデューサーだった武満徹氏に招聘され弟・フランソワ・バシェが片腕のアラン・ヴィルミノと共に1969年来日。7月~10月にかけて大阪に滞在、アラン・ヴィルミノと10名ほどの日本人助手と共に17点の音響彫刻を創った。それぞれの音響彫刻には、助手をしてくれた日本人への感謝の気持ちを込めて、日本人の名前が付けられている。
兄・ベルナール・バシェ(1917~2015)97歳没
Bernard Baschet (born 24 August 1917, in Paris; died 17 July 2015)
弟・フランソワ・バシェ(1920~2014)93歳没
François Baschet (born 30 March 1920, in Paris; died 11 February 2014)
参考データ:http://francois.baschet.free.fr/front.htm