バシェの音響彫刻《勝原フォーン》

作品データ《KATSUHARA PHONE》
サイズ W 4,100mm × D 3,100mm × H 3,100mm
素材 コーン/ジュラルミン、フレーム/鉄、縦弦/ステンレス、横弦/ピアノ線

2017年 東京藝術大学バシェ音響彫刻修復プロジェクトとマルティ・ルイツの協力により修復

たくさんのシルバーのコーン(スピーカー部分)が蓮の花のように華やかな音響彫刻。弦がハープのように縦に張ってあるステンレスの縦弦が3か所、サントゥールやダルシマーのように弦が横に張ってあるピアノ線の横弦が1か所、全部で4か所の弦の部分とジュラルミン製のコーンでできている。3つの縦の弦のなかの一つは、琵琶や三味線の音にある「サワリ音」(ゆがんだ音)が出る仕掛けになっている。縦弦には、エレキギターにつけるようなアームがあり、弦をはじきながら、アームを軽く押すと、音程を揺らすことができる。すべての弦には、ネジがついていて調弦可能になってはいるが、縦弦は構造上音程を固定するのは難しい。弦の部分を擦ったり、はじいたりして多種多様な弦の音が楽しめる音響彫刻と言えるだろう。躯体の部分も打楽器として素晴らしい音がする。


解説 : 永田砂知子
写真 : バシェ協会